既に持っている本の存在を忘れていて、危うく2冊目を買おうとしていたふもぱん先生(他称)です。
その本というのが、『東大家庭教師が教える頭が良くなる思考法』(吉永賢一/中経出版)。最初何で買ったのか忘れてしまいましたが、以前「山本一郎が語る、投資すべきかどうかを自己判断するたった2つのこと」という記事で、「万人におすすめ」と紹介されていた本です。
人の思考回路はなかなか見えないものなので、東大医学部に受かってしまうような人の頭の動き方ってどんなものなのだろう? というミーハー魂から、本棚を掘り起こして読みました。私の脳内にある別知識や解釈という“ふもぱん添加物”とともにまとめてみます。無添加の内容は書籍をご覧ください。
思考の3ステップ
表紙にもある通り、結論は以下の3ステップを実行すべし、です。
- 見抜く(取り組むべき重要な問題を見極める)
- 決める(取り組み方を決める)
- やる(実際に取り組んでみる)
各ステップについて、要点をまとめます。
ステップ1「見抜く(取り組むべき問題を見極める)
発散させる
まずは以下の2点を、思いつくまま紙に書き出します。
- 手に入れたいもの/やりたいこと
- 消したい悩み/やりたくないこと
この「紙に書く」というのは、個人的な経験からも効果を感じます。考えごとを紙に書くという経験があまりない方は、ここだけでも実際にやってみるのはおすすめです。ポイントは「思いつくまま」に書くこと。裏紙など、いつ捨ててもいいくらいの紙を使うと、書くハードルが下がります。著者の方は「暗算よりも筆算の方が早く答えを出せる」と表現されていました。頭のなかであれこれ考えるより、書いて考えよ、と。まずは頭の中身を外に出してみることが肝心です。
別の本ですが、神田昌典さんの『非常識な成功法則』では、「やりたくないこと」をまず書きなさいとされています。「やりたくないこと」の裏返しが「やりたいこと」であることが多いことや、やりたいと思っていることは単なる思い込みであることも多いから、と。現に今いやだな思っていることを取り除く方が、モチベーションとしてわきやすいというのもありそうですね。
収束する
次に書き出した内容から、特に重要なものを探します。
「上司が嫌だ」「給料を上げたい」という“枝葉の問題”よりは、「仕事で圧倒的な結果を出したい」という“幹の問題”を見出します。仕事で圧倒的な結果を出せれば、自然と上司からの評価が変わり、給料も改善されるはず、ということですね。この問題を解決できれば、その他の問題も必然的に解決される、という問題を見極めます。ここでハシゴをかけちがえると違う目的地に向かってしまうため、重要な一歩です。
ポイントは、
- 「消したい悩み」から考える(「手に入れたいもの」の裏返しであることが多い)
- 「手に入れたいもの」は超具体的にする(「家がほしい」より、「間取りは4LDKで駅から徒歩10分、予算は3,000万円…」くらい具体的に)
- 手段と目的を混同しない(お金は得てして手段に過ぎない、お金を使って得たいものを考える)
2番目の「手に入れたいもの」を超具体的にする件は、「SMART」の考え方が参考になります。
- Specific 具体的である
- Measurable 数字で測れる
- Agreed 確かに必要と自分で同意している
- Realistic 現実的(無理がない)
- Timely 期日がある
「家がほしい」を当てはめるなら、
- Specific 間取りは4LDK、駅から徒歩10分、東京23区内…
- Measurable 予算は3,000万円あれば可能
- Agreed 2人目の子どももできるため、たしかに必要
- Realistic 候補の物件が存在する、頭金となる貯蓄やローンの返済も無理がない
- Timely 子どもが生まれる翌年の3月までに
といった感じでしょうか。
ステップ2「決める(取り組み方を決める)」
ステップ1で見抜いた「取り組むべき重要な問題」を解決する方法を決めます。
発散させる
ここでも第一歩は「書き出す」ことです。頭の中であれこれ考えるよりも、ひとまず思いつくままに書きましょう。全然思い浮かばない場合は、調べてみたり、人にアイデアをもらったりするのもよいですね。
「4つの視点」でチェックする
出したアイデアは、以下「4つの視点」でチェックすることが提案されています。
- コントロール内のことを行う
- 達成までの期限が長いものは、それを分割する
- ハイリスクなものには手を出さない
- 長期的に利益が確保できるものを行う
行動する前にこんなにチェックするのか…と思ってしまったのが本音ですが、堅実に行動する方はこういうことをしているのでしょうね。特に「1. コントロール内のことを行う」は、自分ではどうにもならないことはやらない、ということで、思考においては重要な前提です。あの人が○○してくれるようにする、といった考えはコントロール外のことなので、自分ではどうすることもできないことが多いのです。
「4つのデータ」でチェックする
取り組み方へのチェックの視点がさらに登場します(慎重ですね)。それが「4つのデータ」です。
- 知識(プロの人や本、ネットなどから得た情報)
- 経験(自分自身や人の経験)
- 理性(自分で立てた仮説や予測)
- 直感(思いつき)
著者の方は、あらゆる情報はこの4つに分類できる、といいます。
中でも「1.知識」「2.経験」は比較的信頼に足るものですが、「再現性」のチェックが必要になります。「再現性」とは、「○○すれば□□になる」という法則のようなもので、その確実度が高いほど再現性が高いと言えます。再現性が高そうであればOK、低そうであればNGです。
一方、「3.理性」「4.直感」は信用ならぬものとされています。「4.直感」については、私は結構正しいことが多いと感じることが多いのですが、著者の方いわく「成功や失敗の体験を多々積んでいて、なおかつ成功している人」のみ有効とのこと。この点はあまり自覚していませんでしたが、直感は自分の経験量に照らして判断するのがよさそうですね。
シミュレーションする
上記「4つの視点」を「4つのデータ」でチェックしたら、残すはシュミレーションです。ここでは「本当にできるか?」を考え、実際に自分が行動している様子をイメージできるかたしかめます。例えば、
という行動はジャンプし過ぎで、何をしたらいいかわかりません。
- 毎日買っているコーヒーを週1にして毎月5,000円出費を減らす
- 月3万円ずつ天引き貯金して、ボーナス月には10万円貯金する
など、すぐに取り組めそうな行動までブレイクダウンしていきます。
ステップ3「やる(実際に取り組んでみる)」
小さく始める
いきなり盛大に行動を始めるのではなく、小規模に始めて、感触を確かめます。例えば、著者の方はブログを書く時、いろいろなテーマで少しずつ書いてみて、反応の多かった記事を掘り下げて書く、というスタイルをとっているそうです。どれだけ調べて再現性の高そうな手法を知っても、実際にやってみないとわからないものです。
最初の一歩を踏み出すことが肝心ですので、ブログを書くこと自体が重い場合は、もっと負担の軽い作業に分解するのも◎です。何の記事を書くかメモする、タイトルだけ考えてみる、Facebook投稿から始めてみる、などでしょうか。
検証する
実際にやってみてどうだったか? を判断する「期限」と、達成基準となる「レベル」を設定します。先ほどのブログの例で言えば、
- 1ヶ月間毎日書いてみて、月間の閲覧数が3,000を超えるかどうか?
- 1記事あたりの閲覧数が100を超えるものがあれば、そのテーマを掘り下げる
などが考えられるでしょうか。ポイントは主観を入れず、数字で判断することです。人は自己肯定を得意とする生き物ですので、主観では正しい判断ができません。
習慣化する
検証の結果、効果があると実感できたものは、いざ本格始動です。習慣化、システム化することを目指し、自動的にその行動を実行できるようにしていきます。習慣化のコツは、手順や時間、場所を固定するのがよしとされています。ちなみに、特定の喫茶店を考え事をするためだけに使い、人と会ったり、読書したりする場所としては使わない、と場所の固定化を徹底されている人もいらっしゃいます。
個人的には既に習慣となっていること(入浴や歯磨きなど)の前後にくっつけると続きやすい、という実感があります。あとは人と一緒にやることですね(人の目という外圧を使う)。私は友人と「余白部(旧 精神と時の部屋部)」なる部活を定期的に催し、仕事以外の時間を強制的に捻出しています。
やる気を生み出す
いざやることが決まっても、なかなか行動できないことも多々あります。そういう時は、その行動をした結果、どんないい状態になれるか? という感情に訴えかけるのが有効とされていました(逆にマイナス感情は一時的な効果はあるものの長続きしない)。
また、人間は損得で動くため、メリットとデメリットを整理するのも有効です。何のためにやるのか? という目的は常に重要ですね。
まとめ
あらためて、『東大家庭教師が教える頭が良くなる思考法』の大まかな流れは以下の3ステップです。
- 見抜く(取り組むべき重要な問題を見極める)
- 決める(取り組み方を決める)
- やる(実際に取り組んでみる)
本書は簡潔かつ具体的に流れが書いてありますので、ワークブックとして使うのがよいと思いました。紙の書籍は長らく販売されておらず、古本は定価以上の値段がついているようですが、電子書籍の方がむしろ読みながらワークがしやすいかもしれません(Kindleなどは普通に買えます)。
考えごとは計画的に。
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