コンペに落ちたけど、受注した話。

師走というこの魑魅魍魎の季節に、何ヶ月間も書いていない「ブログを書く」という選択をして、ちょっと後悔しているかもしれない私、ふもぱん先生(他称)です。

きっかけは、『Webディレクション Advent Calendar 2015』。最終日の25日目だけ、ぽっかりと穴が空いていたのです。

adventcalendar

これは…

ポチ。

ちょっと後悔しているかもしれません(2回目)。

無駄に長いWebとの付き合い

普段ろくにブログを書きませんが、Advent Calendar という形式上、普段接点のない方が読んでくださるかもしれません。ですので、簡単に私について書きます。

私は12歳のときに独学でWeb制作を始め、2005年に新卒で某Web制作会社に入社。そこで「Webディレクター」という肩書がはじめてつきました。その後、2012年まで7年弱勤め、数ヶ月の御ニート様生活を経て、現在はフリーランスのWebディレクターとして活動しています(もうすぐ丸3年目)。

今年最大の学び(直し)はコンセプトの重要性

私の2015年、「Webディレクション」という仕事にまつわることで パッ と思いつくこと。それは、「コンセプトが大事」ということです。

発端は、少しさかのぼって2014年の夏。複数社が参加するWebサイトリニューアルのコンペ案件でした。1週間ほどでデザインを含むリニューアルの提案をする、という内容です。

結果は、落選でした。

さて、時はすぎて翌年2015年の春。コンペのこともだいぶ忘れかけていたころ、突然、コンペのクライアントからご連絡をいただいたのです。

「リニューアルについて相談できませんか。」と。

提案から9ヶ月は経過していましたので、なぜ今?と、内心驚きました。理由は、前年のコンペで発注先として決まった会社とうまくいかない、とのこと(要約)。後日お話をうかがうと、私が提案書の中に入れていた「コンセプト」が印象的だった、とのこと。

連絡をくださった方はコンペの決裁権はお持ちではありませんでしたが、私の提案を評価してくださっていたようです。提案書をずっと保存し、事あるごとに参照してくださっていたとのことでした(なんとありがたい…)。そこでリニューアルが頓挫しそうになっていたこともあり、ご担当者の方が社内的にかけあって、私にご連絡をくださったのでした。

失注したと思っていた案件が、まさか9ヶ月もたってから仕事につながるとは…予想外でした。

意外と明確になっていないことが多いコンセプト

コンセプトづくりにあたっては、時間が限られていたこともあり、パンフレットとWebからできるだけ情報を集め、整理して組み立てました。あくまでも自分が考えるならこうだ、という仮案です。それでも今回のような結果が得られたあたりに、「コンセプト」の重要さを改めて実感した次第です。

クライアントによりますが、そもそもクライアント自身のコンセプトが明確になっていないことはよくあります。自分が自分のことを意外とわかっていないのと同様ですね。第三者視点でコンセプトを考え、捉えなおそうとすることは、それだけでも価値になります。

ディレクションはコンセプトありき

私がサイトのことを考えるとき、いつも頭の中にあるのが「3C」です。それっぽくしていますが、元ネタは “The Elements of User Experience” という資料にある図です。

3c

Creative(ビジュアルデザイン等)を考えるにも、Contents を考えるにも、その根底にある Concept が何なのか? が必要である、という考えです。当たり前と言えば当たり前ですが、ディレクションをするなら判断基準となる「軸(≒コンセプト)」が欠かせません。

コンセプトのコンセプトは「世界をよくする」こと

ただ、「コンセプト」という言葉の意味は、私自身、長年よく理解できていませんでした。

Nintendo の「Wii」をつくった玉樹真一郎さんの『コンセプトのつくりかた』(ダイヤモンド社)によれば、コンセプトとは、すなわち「世界をよくする」こと。言い換えれば、どんな課題に対して、どんな解決をもたらすのか? 自分たちの存在理由を表すもの、と言えましょうか。

ちなみに Wii のコンセプトは「お母さんが嫌いにならないゲーム」です。同書によれば、コンセプトは20文字以内である必要がある、とされていますが、抽象度を高く、かつ簡潔にまとめるのはなかなか困難です。それほど背景知識のないクライアントについて考えるならなおさらでしょう。

それでも、「こういうことか?」「こうなんじゃないか?」と多角的に考え、提案することには意味があります。提案した結果、なんか違うんだよね〜という評価を受けることも多いですが、そこには少なくともクライアントと同じ目線で考える態度が現れます。よく、クライアントから下請け扱いされてつらい、といった声も聞きますが、まずは自分からパートナーたるべき行動を示すことが先決です。

軽くドヤ感を漂わせる内容が含まれ恐縮ですが、今年、私にとってうまくいったことの代表例、ということでご容赦ください。少しでも今後のディレクション仕事のお役に立てれば幸いです。

人生またはWebディレクターとしてのコンセプトは?

ちなみに先ほどの「Wii」をつくった玉樹真一郎さんは、製品のコンセプトメイキングを突き詰めていく中で、「自分の人生のコンセプトとは何か?」という問いにいたり、結果 Nintendo を去られました。

さて、あなたの人生のコンセプトは何でしょうか?
または、Webディレクターとしてのコンセプトは?

この年末年始、改めて考えます。

人生プロジェクトのマネジメントは計画的に。

健康管理に気をつけよう
健康管理に気をつけよう
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これを覚えておけば大丈夫です(棒)

ご参考)
[PDF] The Elements of User Experience
Webディレクション Advent Calendar 2015