世の中が休みっぽい雰囲気になると、自分も休んでいいよね…と思い、ようやくブログを書けるふもぱん先生(他称)です。
昨年2015年12月26日(土)、CSS Nite が主催する Web 系のイベント『Webデザイン行く年来る年』に参加してきました。13:30から20:00頃までの長丁場で、6つのセッション。これをひとつひとつまとめると、またブログに書かないまま終わってしまう…(間違いない)。
ので、もう1記事1テーマくらいに、断片的に書いていきます。
2015年総決算ゆえディレクター的にありがたいイベント
総評としては、「行ってよかった」でした。理由としては、講演内容のテーマが多彩だったことがあげられます。テーマは以下の6つがありました。
- 基調講演(「制作者はもっと盗むべき、たったひとつの理由」)
- マークアップ
- アクセシビリティ
- スマートデバイス
- ツール・フォント
- デザイントレンド
今年は Web 系のイベントにあまり参加していなかったこともあり、年末総決算的に幅広いテーマのお話を聴けたのはありがたかったです。普段はディレクションの仕事が中心のため、知識は幅広く知っておく必要があり、その意味でも◎でした。
今日は、中でも気になった内容をひとつ取り上げます。
デザインはブラックボックス
長谷川 恭久さん(基調講演)のお話に、「デザインはブラックボックスになっている」という一言がありました。五輪エンブレムでも選考プロセスが不透明である、という批判が一時期あったのを思い出します。
たしかに、普通の人にとってみれば、「デザイン(ビジュアルデザイン)」が生まれてくるプロセスは想像もつかない、というのが普通です。デザインをしたことがない人からすると、デザイナーの仕事は、「何か知らないけど、いい感じのデザインができてきた、すごい!」というイメージでしょう。
プロセスの見える化と価値のプレゼンテーション
ここで思ったのは、プロセスが見えないと、その価値が正しく評価されない、ということです。
私が以前勤めていたWeb制作会社では、制作単価を決めるために、クライアントに制作現場を見学してもらい、どんなプロセスを経て納品物をつくっているのか説明した、という話を聞いたことがあります(これは「価値のプレゼン」だな、と思いました)。
五輪エンブレムのデザインプロセスも、恐らく多くの人には想像できないものだったことでしょう。ゆえに、エンブレムの見た目の好き嫌いはさておき、そのデザインプロセスが正当に評価されたのか? デザインの背景にある考えが尊重されたのか? は疑問が残ります。ただ、広く一般の人には、そんなプロセスなどとうてい想像できないものだった、というのが現実でしょう。
私は Web 制作のディレクションが中心ですので、制作物というわかりやすいアウトプットがありません(自身の手でつくるというより、パートナーにつくっていただくことが多いため)。それだけに、ディレクターの価値って何なの? に対する、価値のプレゼンが今後必要だな…と考えさせられました(度々感じてはいますが)。
消費者視点と生産者視点
今回参加した「イベント」というものにも言えますが、イベントに参加するだけ(消費者視点)だと、イベントの大変さは見えてきません。イベントを主催する経験(生産者視点)があると、その大変さや苦労が見えてきます。
私は主催者側になることが定期的にありますが、参加するだけのときには見えていなかったことに多々気づくことがありました。例えば、純粋にイベントの場所をおさえるのって大変だなとか(収支や設備なども考慮しつつ)、ドタキャンにどう対応するかとか、精算はいつするのかとか、領収書は…とかとか。いくらでも出てきます。
サービスの価値を正しく評価するには、サービスを受け取る側(消費者)、提供する側(生産者)、二面からの理解が欠かせません。どちらも体験するのが一番早いですね。
パートナーになる/自分事化する
消費者が生産者について理解しているケースばかりではありません。Web 制作となると、クライアント(消費者)に制作経験がないことは多々あります。むしろ、自分ではできないから発注するのでしょう。ただ、そこで妥当な評価や価値を認めてもらうためには、やはり生産者からの「価値のプレゼン」が欠かせません。
逆に、生産者も、消費者のことを理解しなければなりませんね(二面からの理解)。双方から理解し合おうという関係づくりができれば、そこから生まれる成果物もよいものになっていきます。つまり「パートナーになる」ということです。この意識がないと、とりあえず言われたことをやればいい、という他人事の仕事になりがちです(自戒をこめて)。
自分は、クライアントのパートナーという関係で仕事ができているだろうか? その関係を築く努力ができているだろうか?
2016年、改めて意識したいポイントです。
消費と生産は計画的に。
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