やりたいことに欠かせない「ロマンとソロバン」

2週間ほど前、京都・嵐山へ一人旅をしてきたふもぱん先生(他称)です。

旅は3泊4日でしたが、「一人合宿」と称して、今後のことをあれこれ考えていました。議題は主に「やりたいことをするには?」。本来やりたいことがあるけれど、その他必要に迫られている仕事も大事。そんな状況の方が多いのではないかと想像します。

私の場合、自分のやりたいことよりも、人に求められる仕事を優先する傾向があります。この両者のバランスが肝要なのですが…。何かと従順な(?)Japanese DNA を持つ方は、同じような方も多いでしょうか?

人として求められることはうれしいですし、自分のもっているものが少なからず人様のためになるなら本望です。ただ、バランスが偏りすぎると、「嗚呼、何か疲れてきたかも。」と遠い目をしてしまいます。

「さぁ、そんな己、どうする?」

その問いにこたえるのが今回の一人合宿の目的でした。

よい意味で効率のよい仕事を育てる

結論としては、効率重視の仕事をある程度育てるべきだなぁ、ということでした。ビジネス的には当たり前かもしれないのですが、京都の喫茶店でふと、そのことを再認識したのです。

旅行中、午前中と夜は宿で、昼間は京都にある喫茶店を渡り歩きながら、考え事の日々をおくっていました。中でもぜひ訪れたかった喫茶店が、《六曜社 地下店》さん。こちらは1階と地下にお店があり、それぞれ親子で経営されているお店です(地下がお父様、1階が息子さん)。余談ですが、こちらはホームメイドドーナツが素朴でおいしいですよ。

京都初日は《六曜社 地下店》さんで考え事をしていたのですが、後日、これまた喫茶店の《逃現郷》さんというお店で手にとった『京都・大阪・神戸の喫茶店』(川口葉子 著)という本に、六曜社さんの親子対談があるのを見つけました。

逃現郷
町家を改装した喫茶店で、奥の中庭の先には映画部屋があります。

日本では1960〜1970年代に空前の純喫茶ブームがあり、お店がお客さんで満杯になることも珍しくなかったそうです。今で言うスターバックスのようなイメージでしょうか(休日となるとすごいですよね)。

長年喫茶店の歴史を見てきた《六曜社 地下店》のお父様曰く、ブームの当時、お店の回転率を上げるためにお客さんを追い出したり、長居を禁止するような対応をとっていたお店はことごとく姿を消していった、とのこと。

お客さんが喫茶店に行く大きな目的のひとつに、「ゆっくり過ごす」というものがあります。この大きな価値提供をできないお店は支持されなくなり、結果的に消えていったのだと思います。

もちろん喫茶店も商売ですから、長居するお客さんが多ければ経営が立ち行かなくなります。消えていった喫茶店も「ゆっくり過ごしてほしい」という思い(ロマン)はありつつも、経営(ソロバン)が追いつかずに、やむを得ず回転率に走ったのかもしれません。

そんな中、六曜社さんが長年経営を続けられているのは、珈琲豆の販売があったから、とのこと。要は物販ですね。珈琲豆だけ買って行くお客さんや、喫茶店の帰り際に珈琲豆も買ってくれるお客さんなど、収支を改善してくれる要素が大切、というわけです。店舗経営をされている方にとっては至極当たり前のことと思いますが、

  • 非効率なサービス:ゆっくり過ごしてもらう
  • 効率的なサービス:珈琲豆の販売(物販)

…というバランスをつくることが大切なのですね。

物販の珈琲豆もただつくればいいというわけではなく、当然ながら「おいしい」という価値を提供しなければなりません。そのために、日々技術を磨かれてきたことも忘れてはならないポイントです。

自分のやりたいことを支えてくれる「珈琲豆」をつくる

ここで自分事に置きかえてみましょう。私の場合は「自分の好きなサイトをつくる」がやりたいことです。ただ、これで生活を成り立たせるのはそう簡単なことではありません。非効率なロマンです。

そこで、自分にとっての「珈琲豆」的なものって何だろう? と考えてふと思ったのは、WordPress のオリジナルテーマの制作と販売、でした。制作の技術を磨き、その成果物としてオリジナルテーマをつくる、というのは珈琲豆に通じるものがあります。

これまでも考えなくはないアイデアでしたが、今回の旅で理解が納得にまで深まりました。みなさんなら、どんな「珈琲豆」がつくれるでしょうか? ちょっと考えてみると、やりたいことへの希望が湧いてくるかもしれません。

ロマンとソロバンの両立は計画的に。

追伸:そう言えば、京都の喫茶店は計11店舗めぐりましたが、どのお店も東京と比較してお客さんが長居をしない印象がありました。食べて、飲んで、一息ついたらサッと出る感じ。さすが喫茶店文化のある土地だな、と思いました。サービスを提供する人と提供される人がお互いを尊重しているのを感じます。自分の仕事でも、微力ながらそういうカルチャーをつくっていくことが必要だな、そんなことも感じた京都旅行でした。